テンプレート:映画 『ターミネーター』(原題 The Terminator)は、1984年のアメリカ映画。
ボディビル出身の俳優アーノルド・シュワルツェネッガーを一躍スターダムに押し上げ、シリーズ化されたSF映画として知られる。オライオン・ピクチャーズ=ワーナー・ブラザーズ配給。製作費は約14億円。
あらすじ
反乱を起こした人工知能を持つマシーンと、それに抵抗する人間が互いに戦い合う近未来、人類側の抵抗軍指導者として一人の男が立ち上がった。彼の名はジョン・コナー。反撃に転じた人類に脅威を感じたマシーンは未来から現代に殺人アンドロイド『ターミネーター』を送りこんだ。目的は人類側の指導者を歴史から抹殺するため、指導者の母親となるサラ・コナーを殺害することである。
同じ頃、カイル・リースという男性兵士がサラの護衛という使命を帯びて未来から送り込まれる。人類の運命を分ける戦いは、今、1984年・ロサンゼルスで始まる事になった。
現代に降り立ったターミネーターがサラの居場所を突き止めた。彼女の頭を銃で撃ち抜こうとしたその瞬間、同様にサラを探していたカイルが間一髪で阻止、彼女を救出して2人で逃走する。
事態が飲み込めず怯えるサラにカイルは話し始める。襲った人物の正体が金属骨格に人工の細胞組織をまとったアンドロイドである事、特定の人物抹殺のために未来から送り込まれた事、ターミネーターはサラが死ぬまで狙い続ける事などを。信じようとはしないサラであったが、カイルの生い立ちは彼女が生きている現代とは明らかに別物であった。また彼の人柄に触れるうちに次第に心を開くようになる。そしてターミネーターの追跡から逃げ続ける2人は、時が経つうちにお互いに恋心を抱くようになり、ついにモーテルで愛を交わす。
束の間の休息の後、2人はターミネーターの襲撃を受ける。カイルは負傷するが、ターミネーターの運転する大型タンクローリーを爆破、炎上させる事に成功。これで全てが終わったかのように思われた。しかし、炎上するタンクローリーの残骸から、チタン合金の骨格となったターミネーターが現れ、再び2人に襲い掛る。2人は近くにあった工場に逃げ込む。カイルは再びターミネーターを爆破する事に成功するものの、力尽きて死んでしまう。サラも片足に重傷を負う。カイルの死に悲嘆に暮れるサラに、爆破されたはずのターミネーターが上半身に右手だけの姿で尚も彼女に襲い掛かる。サラは足を引きずりながら這ってプレス機の下を潜り抜け、追って来たターミネーターをプレス機の下に誘導する。彼女がプレス機を作動させると、ターミネーターは押し潰され、完全に破壊された。彼女とターミネーターの死闘はこれで終わりを迎えた。
数ヶ月後、お腹にカイルとの間の息子ジョンを宿したサラは砂漠に横たわる道を車で走りながら、テープに音声を吹き込んで音声日記を作成しつつ、カイルの残した言葉と未来に訪れる「審判の日」に思いを馳せていた。それは1997年8月29日にマシーンによる核戦争が始まり、30億もの人命が失われる事、そして人類がマシーンとの戦いに立ち上がる事、その戦いを彼女の息子ジョンが勝利に導くという事。そして未来のジョンが己の母親であるサラに宛てた、またこの先に波乱の予兆がある、というメッセージに。これが現実のものとなってしまう事は彼女も察していたが、彼女は新たな戦いに挑む事を決意した。
スタッフ
- 監督:ジェームズ・キャメロン
- 製作 :ゲイル・アン・ハード
- 製作総指揮:ジョン・デイリー、デレク・ギブソン
- 脚本:ジェームズ・キャメロン、ゲイル・アン・ハード
- 撮影:アダム・グリーンバーグ
- 音楽:ブラッド・フィーデル
- SFX:スタン・ウィンストン、Fantasy 2 Film Effects、パシフィック・データー・イメージズ
- 提供:ヘムデイルフィルムコーポレーション、シネマ84、ユーロフィルムファンド、パシフィックウェスタン
キャスト
- ターミネーター(The Terminator):アーノルド・シュワルツェネッガー(タイトル・ロール)
- カイル・リース(Kyle Reese):マイケル・ビーン
- サラ・コナー(Sarah Connor):リンダ・ハミルトン
- ピーター・シルバーマン医師(Dr.Peter Silberman):アール・ボーエン
- エド・トラクスラー警部(Lieutenant Ed Traxler):ポール・ウィンフィールド
- ハル・ブコビッチ刑事(Detective Hal Vukovich):ランス・ヘンリクセン
日本語吹替
役名 | ビデオ版 | DVD版 | 1987年テレビ朝日「日曜洋画劇場」版 | 2003年テレビ東京「木曜洋画劇場」版 |
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ターミネーター | 大友龍三郎 | 玄田哲章 | 大友龍三郎 | 玄田哲章 |
カイル | 池田秀一 | 宮本充 | 田中秀幸 | 小山力也 |
サラ | 高島雅羅 | 佐々木優子 | 戸田恵子 | 松本梨香 |
トラクスラー | 宝亀克寿 | 内海賢二 | ||
ブコビッチ | 仲野裕 | 内田直哉 | ||
シルバーマン | 岩崎ひろし | |||
ジンジャー | 雨蘭咲木子 |
続編
- ターミネーター2(1991年公開)
- ターミネーター3(2003年公開)
- ターミネーター4(2009年公開)
- ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ(2008年放送)TVシリーズ
- ターミネーター5(2011年公開予定)
制作経緯
- ターミネーター役の人選
- 監督のジェームズ・キャメロンは本作について、「当初は殺人ロボットの話を予定していたが、現代の技術ではそうしたロボットの実現は不可能であるし、かと言って未来の話ではセットに費用がかかる上に観客にも受け入れがたいと考え、その結果、未来の殺人ロボットが現代にやって来るタイムトラベルのアイデアが浮かんだ」と語っている。主役のターミネーターについて、当初は『T2』のT-1000の様な、「細身の一見ひ弱そうな人間だが実は強力」というキャラクターを構想しており、本作でブコビッチ刑事を演じたランス・ヘンリクセンが候補に挙がっていた(後に『エイリアン2』でアンドロイド・ビショップを演じる)。
- しかしキャメロン監督が、カイル役候補としてシュワルツェネッガーと会食した際、ターミネーターのキャラクターについて有用な意見を得たのをきっかけに、彼に白羽の矢が立つ事になった。結果としてシュワルツェネッガー演じるターミネーターは好評を得て、彼を一躍ハリウッドのスターへと押し上げた。その後のシリーズでは、正義の側(ジョン・コナーを守る立場)として活躍するなど、その人気の高さが伺える。
- 3D制作のコスト面
- 公開以前は製作・配給会社から全く評価されておらず、爆発で肉体を焼失したターミネーターが骨格のみで追跡を再開する以降の部分は、製作されずに終わる所であった。というのもターミネーターが、金属の骨格のみになった以上、シュワルツェネッガーがそれを演じるのは不可能であるためで、当時の映像技術から考えるとストップモーション・アニメーションを採用する事になるが、フレームレートを低く設定するとターミネーターの動きがぎこちなくなってしまう。フレームレートを上げれば上げるほど作業時間は増え、制作費は跳ね上がる。
- 遂に費用が尽きてしまい、これ以上は製作が続けられないという状況下において、突如キャメロン監督が「トラックに衝突してターミネーターが足を怪我したことにすれば、フレームレートを下げても動きが不自然に見えず、むしろ怪我によるものに見えるため、かえってリアルになる」という奇抜なアイデアを思いついた事で、クライマックスのシークエンスはかろうじて完成に至った。
備考
劇中でカイルがサラにT-800のことを「サイボーグだ!」と説明するくだりがあるが、サイボーグとはあくまで人間をベースとしてそれにメカをインプラントするものであり(義手、義足等がその例)、その逆をサイボーグとは呼ばない。T-800は人間の容姿を持ち表面に細胞組織を使用してはいるものの、あくまでもロボットであり、正確には『ヒューマノイド』や『アンドロイド』と呼ぶべきであろう。
その他
- 劇中、ターミネーターは銃砲店から奪ったAR-18やUZIをフル・オートマチック(引き金を引いている間は弾丸が発射され続ける)で発砲しているが、比較的銃器に寛容なアメリカといえど、フル・オートマチック機能を持つ銃器の売買には警察及びBATFE(連邦アルコール・タバコ・銃器・爆発物局)の許可が必要であり、元々セミ・オートマチック機能(引き金を引くと弾丸を一発だけ発射する)のみの市販用モデルであったこれらの銃を、ターミネーター自身がフルオートに改造したと考えられる(小説版には、ターミネーターが改造マニュアルを見ながらフルオート射撃可能な状態へ改造する場面が登場する)。因みに、これは実際にアクション映画等の銃器担当スタッフがフルオート銃器を調達するために常用する手段(もちろん許可が必要)である。
- カイルを演じたマイケル・ビーンは、オーディション当時は舞台劇の影響で南部訛りが強かったため、不自然だということで落とされかけたが、エージェントによって南部出身者ではないと説明され、危機を脱した。
- 設定の一部について、TVドラマ『アウターリミッツ』のハーラン・エリスンが脚本を担当した2つのエピソード(第33話『38世紀から来た兵士』、第37話『ガラスの手を持つ男』)から剽窃したものとの指摘があり、キャメロン監督が謝罪している。
- 警察署窓口での台詞「I'll be back.」はシュワルツェネッガーのトレードマークとなり、以降の出演作の多くで「I'll be back.」と言うシチュエーションが設定されている。
- 映画のラスト、ガソリンスタンドにいた少年に「嵐が来るよ」と言われたサラが「ええ、分かってるわ」と返すシーンは「機械との戦争が待つ未来」を暗示させるものだが、これは製作陣があらかじめ続編を意識していたことの表れともされている(1996年、『ゴールデン洋画劇場』にて本作が放送された際には、番組司会者である高島忠夫がそのように語っている)ただし、冒頭で「未来の最終決戦は今夜行われる」というナレーションが入り、警察で尋問されているカイルが「防衛網は破られ、勝利は確実であり、スカイネットはジョンの母親を殺すことで出生そのものを阻止するしか手が無かった」「タイムスリップの装置はジョンによって爆破され、後から来る者は居ない」という台詞から一作目で終わる可能性も十分あったと思われる。
- この映画で一躍世界的なスターとなったシュワルツェネッガーであるが、本作以前はそれほど人気俳優というわけではなかった。この映画では同氏の陰部、臀部などの露出シーンがあるが、以降の作品ではそのようなシーンは撮影されていない。
- サラがターミネーターをプレス機で押しつぶす時の台詞「you are terminated.」は、『ターミネーター3』でT-850がT-Xを破壊する時にも使用された(『ターミネーター2』では、ジョンの「Is he dead?(死んだの?)」に対し「Terminated.(完全に)」という台詞が発せられている)。
- 銃砲店にてターミネーターが銃を選ぶ際に「プラズマライフル」を選択するが、これは未来の兵器であり、この時代には存在せず、ターミネーターの情報ミスである(本作のパンフレットにて解説が載っている)。一部字幕では「なんですそれ?」とも表記されている。
- カイルの回想にてシュワルツネッガー以外の筋骨隆々のターミネーター(演者はボディービルダーのフランコ・コロンブ)が登場している。「旧式は皮膚がゴムでできていて識別しやすかった」と言っていたが、このターミネーターは誰にも気付かれることなく基地に潜入できたことから(カイル達は犬の鳴き声でターミネーターであることがわかった)旧式ではないと思われるが、続編や関連書籍でも語られていない為どのようなタイプなのか不明である。
ゲーム作品
- ターミネーター(Nintendo Entertainment System)
- 海外のみで発売されたゲーム。左・右スクロール型のアクションゲーム。カーチェイスステージなどもある。海外仕様なだけに難易度は極悪で、全面クリアーには運が必要とされる。コンティニューやセーブ等は一切ない。
関連書
- 『ターミネーター』(講談社X文庫)R・フレイクス、W・H・ウィッシャー訳 吉岡平 1984年
- 『ターミネーターの秘密』 HOLLYWOOD見聞会 データハウス 1993年 ISBN 4887181833
- 『『ターミネーター』解剖』 ショーン・フレンチ 矢口誠訳 扶桑社 2003年 ISBN 4594041007
テンプレート:ジェームズ・キャメロン監督作品
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